直前期になると親も焦りがちになるのだが、「緊張感は子どもに伝わるので注意したいところです」と話すのは、『中学受験に合格する親子の「魔法の会話」』などの著書がある石田勝紀さんだ。
「親の感情は子どもに伝わりますから、気をつけてください。子どもの内面は表に出にくく、どれくらいストレスや緊張を抱えているかはわからない。親が思う以上だと考えておくのが大前提です」
■励まさず日常を貫く
親がよくやりがちな「頑張れ!」など、励ましの言葉も禁物だと指摘する。
「励ますという行為は落ち込んでいる時にするものです。励まされる子どものほうは、『え、励まされる必要があるの?』と思う可能性があります。大事なのは日常を通すこと。これができない場合は試験については何も言わず、普段通りに振る舞う方がいいのです。一日一日を淡々とやっていく子ほど、合格を手にするケースが多い。ここまできたら、100%自分の力を出せるかどうかだけです。焦りは不安を生んで、体と脳を硬直させることもありますので、とにかく焦らせることはやめましょう」(石田さん)
もしも、子どもが「不安だ」と話しかけてきたのなら、共感するといいようだ。
「この時大事なのは一緒に不安がらないこと。子どもの話にうなずきながらもあまり重たく受け止めずに、今やれることはこれとこれだねと、具体的に教えてあげてください」(同)
(フリーランス記者・宮本さおり)
※AERA 2021年1月25日号より抜粋