「地理歴史、公民」の試験開始を待つ受験生 (c)朝日新聞社
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 英語民間試験利用の延期、記述問題の見送り……。紆余(うよ)曲折の末、今年から始まった大学入学共通テストは第1日程(1月16、17日)が実施された。難化すると思われていたが、平均点は昨年の大学入試センター試験を少し上回る見込み。来年以降はどうなるのか。私大入試にも影響が出そうだ。

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「今年は試験が終わるたびに途端に悲壮感が漂う受験生が多かった」

 こう明かすのは共通テストの試験官を務めた大学職員だ。昨年までのセンター試験は暗記型の問題に偏っていたとの批判があった。そこで、思考力や判断力を重視する共通テストが導入された。

 表や資料などを読み込んで解答する問題が増加。英語リーディングでは昨年のセンター試験よりも6ページ、数学I・Aも7~8ページ増えた。代々木ゼミナールの佐藤雄太郎教育事業推進本部長はこう見る。

「思考力、判断力を問うという点では、それが反映されている問題になっていた。受験生からすると、考えたりすることで時間がなくなり、難化したと感じる人も多かったのではないか。制限時間内に必要な情報を抽出する力がより問われていた。問題としては良問だったという評価です」

 大学入試センターが公表した平均点の中間集計によると、多くの教科・科目で昨年より点数が増加。各予備校・塾が出した5教科7科目の予想平均点も昨年よりプラス4~17点で、少し高くなりそうだ。当初の狙いではセンター試験よりも平均点を下げるとしていた。来年以降は難化する可能性がある。

 今後、動向が気になるのが、英語民間試験と国語・数学の記述問題を実施するのか否かだ。英語民間試験は、高額な受験費用など受験生の経済的状況や住んでいる地域によって受験機会の公平性が確保できないとして、2019年11月に延期が決定。記述問題は採点を民間企業が担うとしたが、採点ミスなどの懸念を払拭(ふっしょく)できず、同年12月に見送りが決まった。

 入試の大きな変更を行う場合、大学は2年ほど前に公表する。共通テストの内容を変更するには文部科学省はさらに1年前に各大学に制度変更の通知をする必要がある。

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