昨年末から問題視されている女子アスリートの肖像を侵害する盗撮やそのような写真、映像を無断でSNSに投稿する悪質な行為。水着をユニフォームとするビーチバレーボールでは約30年前から女子選手の性的な部分を狙った盗撮行為は問題として挙げられていた。
近年はインターネットやSNSの普及によって盗撮された写真や動画が流出し拡散されるようになった。それがビーチバレー界で色濃く露呈されたのは、人気選手の出現だ。あまりの惨状に大会運営側は2007年以降、撮影自体を一時禁止にし、現在では携帯電話以外による撮影を禁止している。
しかし、現状はどうだろう。SNSには大会会場内で撮影された女子選手の胸や下半身をクローズアップした映像があふれている。そんな状況をみかねて先日、他メディアを通じて現役の女子ビーチバレー選手が声をあげ、話題を呼んだ。この問題点を掘り下げ、今後の対応策をまとめてみたい。
■現状と選手の捉え方
まずは現状を整理していきたい。ビーチバレーの選手たちは、競技を取り巻く環境を踏まえ、この問題をどう捉えているのだろうか。
「女性アスリートである以上、女性が持つ美しさを武器にしてもいいと思いますし、私は撮影されること自体が嫌なのではありません。撮影の時・場所・内容によって競技に集中できない状況やプレーの妨げになることは嫌です」
そう語るのは、昨年唯一開催されたトップツアー大会で準優勝を果たした鈴木千代(クロス・ヘッド)だ。鈴木自身、自らの画像をSNSで目にしたことはないが、悪質な盗撮被害にあった経験は何度もあるという。
「観客席とサーブエリアが近い大会の試合でサーブを打つ時、スマートフォンの連写音が聞こえてきました。観客席にいた知り合いが、私の下半身を狙って撮影していたことを教えてくれました。それ以来、コートと観客席が近い大会は、観客席のほうへ寄りたくないので助走を使わないサーブを打っています。そういうことを気にしてベストな状態でプレーできないのは違和感があります」
その鈴木と今年ペア結成3年目のシーズンを迎える坂口由里香(大樹グループ)は、会場内で観客がスマートフォンのカメラをズームにして選手の身体の局部だけを撮影しているのを目撃したことがあるという。