──コロナ禍において、評価される大学とはどんな大学か。
コロナ禍のなかで、学生が大学を選ぶ視点が変わった。大学が学生とどう向き合ってくれるかを、受験生は冷静にみていたと思う。実家を離れて都市部などに単身で行く学生もいるわけだから、不安にどう寄り添ってくれるかは重要だ。
たとえば地方出身の学生が多いからと、食券を配って、朝昼晩、学食にいつでも食べにきていいという取り組みをしている私学があり、ここは学生の満足度がすごく高い。食堂にアクリル板を一人ずつ置いて、食事の後は自習してもいい、という取り組みをしている大学もある。そういうところに学生は安心感を持つと思う。学部名がよく変わる大学は時代の変化を柔軟にとらえている
──今後の大学には、何が求められるのか。
文科省には毎年のように新しい大学、新しい学部の申請がある。他方、18歳人口は減っている。そうしたなかで、各大学は個性をきちんと発揮して、生き残りをかけた経営努力をするべきだと思う。今回YouTubeなどを使って録画授業を配信した大学で、OBが自分の母校の授業をのぞいてみたら、恩師が20年前と同じノートで授業をしているのがわかった、ということがあった。
たとえば創設100周年といった歴史や伝統がある大学は、それはそれで立派だが、歴史があるのがいい大学なのだろうか。新しくて学部名がよく変わる大学が悪いかのように世の中では言われるが、わたしはこうした大学のほうが時代の変化を柔軟にとらえている面があると思う。開設当初になかった学部を新しく作り、総定員数のなかでうまく学生の割り振りをしているのは、これからの大学の姿だと思う。
伝統校には伝統校の強みがあり、歴史に裏打ちされた動かない信頼感がある。だが、本当にそれだけでいいのか。いま日本で必要な人材はどんな職種のどんな能力なのか。たとえばAIに対応できる人材、データを読み取るサイエンティストが必要なのではないか。
時代の変化がこれだけ激しいのだから、それに合わせた教えをするべきだ。大学のみなさんと新しい令和の大学像を考えていく必要性があると考えている。
■萩生田光一(はぎうだ・こういち)/1963年東京都生まれ。明治大学商学部卒。八王子市議、都議を経て、2003年衆議院議員に初当選。文部科学大臣政務官、自民党幹事長代行などを歴任し、19年9月から現職。
(構成/鈴木顕<インタビューは2月9日に実施>)
※『大学ランキング2022』より