ひきこもらずに人生を過ごす人びと「つうじょうじん」を風刺的に描いた作品で、「つうじょうじん」をめぐる問題の解決に携わる「つうじょうじん支援スクール」の校長やインタビューに応じる「元長期つうじょうじん」などが登場人物として描かれ、こんなセリフもある。

「君は引きこもらずに32年も過ごして今後は一体どうするつもりなんだ?」
「[つうじょうじん]の人を恫喝し脅迫し暴力的に引きこもらせるのはやり過ぎではないでしょうか?」
 
これまでのひきこもり問題の描かれ方、取り上げられ方を読者に問うような作品だ。

 表現方法や画材は問わないが、応募作品はデータで提出する。課題応募とは別にフリーテーマ部門もあり、いずれも作品の応募締め切りは7月15日だ。

 文学大賞の2回の開催を通じて、落選してショックを受けた人、作品を完成させられず応募もできなかった人の嘆きの声が気になったという東さん。

「大賞を決める、賞金を渡す、という企画なので、差をつけてしまうことは、どうしても避けられないとはいえ、全く本意ではありません」

 賞に価値があると認めてもらうことが、世間のひきこもりへの視線を変化させるきっかけになり、ひいてはひきこもりや元ひきこもりの人たちにとって生きやすい社会にするための一歩になると東さんは考える。

 文学、絵画にとどまらず、今後は音楽、動画などにも広げていきたい考えだという。

 4月30日まで引き続きクラウドファンディングで資金を募り、支援者はリターンとして作品を閲覧、投票する権利が得られる。支援は500円から。

 第1目標金額の10万円は達成済みだが、さらに支援額が増えれば大賞賞金の増額などに充てる予定だ。(編集部・高橋有紀)

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