楽天時代に伊藤智仁投手コーチ(今年からヤクルトに復帰)のアドバイスで投げ始めたという高速シュートで併殺を取ることができ、ピンチでマウンドに上がることも多いが、それだけではない。4月22日の広島戦(マツダ)、翌23日の中日戦(神宮)ではいずれもリードした8回に登板するなど、時に「方程式」の代役として彼らの負担を軽減する役割も担っている。
そしてもう1人。ここへ来てグングンと評価を上げているのが、近藤よりも1年早く楽天を戦力外となり、ヤクルトに拾われた形になった今野龍太(25歳)である。本人には失礼な言い方だが、一見すると頼りなさそうなその表情とは裏腹に、スピンの効いたストレートは時に150キロに迫る。そのストレートを最大の武器に、昨シーズンはチームトップの奪三振率(9イニング換算での奪三振数)12.79を記録した。
昨年は大半がビハインドでの出番だった今野は、今年も当初は同じような起用が続いていたが、4月22日の広島戦(マツダ)でプロ8年目にして初のホールドをマーク。翌23日の中日戦では同点の6回に登板して無失点で切り抜けると、その裏に味方が勝ち越して、楽天時代のプロ初勝利以来となる白星を挙げた。ここまで11試合に登板して防御率は2.03で、その存在感は日に日に増すばかりだ。
もちろん現在、チームが好位置につけているのは救援陣の力だけではない。4月20日からの5連勝では、うち4試合で先発投手が3失点以下と試合をつくったのも大きかった。一方で4月27日からの巨人との2連戦(神宮)は、いずれも先発が初回から失点を重ね、本拠地の神宮では開幕カード以来となる連敗を喫した。
今シーズン初の無観客試合となった27日の試合では、打線が3度のビハインドを跳ね返し、8対8の同点で9回を迎えたものの、ここで登板した守護神の石山が先頭のゼラス・ウィーラーに勝ち越しの一発を被弾。なおも1死一、三塁となったところで降板すると、代わった8番手の梅野雄吾が打ち込まれ、点差は6点と大きく広がった。
その裏、打線が3点を返して最後は3点差まで詰め寄っただけに、石山を続投させていれば……と思う向きもあるかもしれない。だが、そこには高津臣吾監督なりの深謀遠慮がある。