今シーズンのヤクルトは、ここまで計12人の救援投手がのべ102試合に登板。これはリーグではDeNAののべ109試合に次ぐ多さだが、今シーズンならではの救いもある。1つは延長戦を行わず、9回打ち切りという特別ルールが採用されていること。本来は12回までと規定されている延長戦は、昨年は特例事項により10回までと制限されたが、それでもヤクルトは両リーグ最多の17試合を行った。今シーズンの引き分けは今のところ4試合で、延長戦があれば使う必要のあった投手をその分、使わずに済んでいることになる。
さらに今年は東京オリンピック開催を前提とした日程編成により、7月19日から1カ月近いペナントレースの中断期間もある。疲労がたまった救援陣も、その間にある程度はリフレッシュできるというわけだ。
ただし、いくらブルペンを上手にやりくりしても、先発がしっかり試合をつくらないことには、このまま上位を争うのは難しい。打線はリーグ3位の1試合平均4.15得点を記録し、高津監督も「どこからでも出塁して、どこからでも点を取れる形にしたかったというか、ちょっとその形に近づいてきたかなっていうふうには思います」と手ごたえを口にしている。今後の戦いのカギを握るのは、ここまで両リーグでも2番目に低いQS率(先発が6回以上投げ、自責点3以下に抑えた試合の割合)29.6%の先発投手陣ということになりそうだ。(文・菊田康彦)
●プロフィール
菊田康彦
1966年生まれ。静岡県出身。大学卒業後、地方公務員、英会話講師などを経てフリーライターに転身。2004~08年『スカパーMLBライブ』、16~17年『スポナビライブMLB』出演。プロ野球は10年からヤクルトの取材を続けている。