13勝10敗4引き分け、セ・リーグ3位──。2021年シーズンの開幕から1カ月あまり。2年連続最下位からの巻き返しを図るヤクルトが、大方の予想を覆す健闘を見せている。
本拠地・神宮球場で行われた開幕3連戦では阪神に3タテを食らうという苦しいスタートとなったが、その後は新型コロナウイルス感染の影響などで主力を欠いても善戦。4月20日の広島戦(マツダ)からは引き分けを挟んで3年ぶりの5連勝で、一時は2位に躍り出た。
なかでも目を引くのは、昨年は両リーグワーストのチーム防御率4.61と苦しんだ投手陣の頑張りだ。現在のチーム防御率3.92はリーグ5位で、決して良いとは言えないのだが、昨年と比べると大きく改善されている。
これを支えているのが、なんといってもリーグ2位の救援防御率2.99を誇り、10セーブ、34ホールドは共にリーグ1位という強力ブルペンの存在である。昨季の最優秀中継ぎで今季もここまでリーグトップの11ホールドを挙げている清水昇と、8ホールド(同4位タイ)のスコット・マクガフ。そして、トップタイの8セーブをマークしている守護神・石山泰稚がその中心なのは間違いないが、今年はそこに新たな戦力が加わっている。
それが昨シーズン限りで楽天を戦力外となり、育成契約でのヤクルト入団を経て、3月半ばに支配下登録された近藤弘樹(25歳)だ。開幕からここまで14試合に登板して無失点、マクガフらと並んでリーグ4位の8ホールドをマーク。名前に掛けるわけではないが、マウンド上の精悍な表情はどこか金剛力士像を思わせ、「近藤力士」とでも呼びたくなる。
開幕当初はリードされている展開での登板が続いたが、4月4日の巨人戦(東京ドーム)で移籍後初ホールドを記録すると、その後は勝っている場面での出番が増えた。ヤクルトの先発投手の平均投球イニングはここまで5.06回であり、7回以降を担う清水、マクガフ、石山の「勝利の方程式」につなぐ中継ぎが必要になるケースが多い。その役割に近藤がピタリとハマった。