菅義偉内閣の支持率低下が続く中、自民党の森山裕国会対策委員長と立憲民主党の安住淳国会対策委員長が、6月16日までの今国会会期中に党首討論を開く方向で一致したというニュースが飛び込んできた。実現すれば2年ぶり。菅総理にとっては初である。党首討論では、首相と野党各党の党首が一対一で議論するが、今回最大の見せ場は、菅総理と最大野党立憲民主党の枝野幸男代表との論戦ということになる。非常に楽しみだ。
党首討論の光景を想像して欲しい。枝野氏は攻め手にこと欠かない。菅総理の五輪開催への強引な姿勢や支離滅裂なコロナ対応、さらには河合案里事件の1億5千万円提供問題、森友学園事件で公文書改ざんを強要されて自殺した元近畿財務局職員の赤木俊夫氏により残されたいわゆる「赤木ファイル」などについて、周到に準備したうえで、厳しく糾弾するだろう。
一方の菅総理の弁論能力の低さは、万人が一致して認めている。枝野氏の攻勢に対して、菅総理は、生気のない顔で、ほとんどなす術もなく、官僚が作ったすれ違い答弁を繰り返し棒読みし続けることになる。その惨めな姿は、テレビ放送で国民の目にさらされる……ということになるだろう。
それにしてもなぜ、よりによって、ここまで支持率が下がった状況で、自民がわざわざ菅氏をリングに上げて、こんなに不利な戦いを強いるのだろうか。「党首討論をやれ!」という国民世論が盛り上がっていたのならわかるが、そんな状況では全くなかった。
普通に考えれば、その裏には、当然与野党間、なかんずく、自民の森山国対委員長と立民の安住国対委員長の間で何らかの取引があったということになる。そこには2つの可能性がある。
一つは、まだ成立していない残りの対立法案のいずれかについて、安住氏が森山氏に成立を約束したということ。例えば、野党が反対している「安全保障上重要な施設周辺の土地利用を規制する法案」は、森山・安住両氏お得意の闇談合取引のターゲットには最適だ。