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「朝、散歩をしていたら、カラスが背中の肩甲骨のあたりに突撃してきました。バレーボールのアタックを間近で受けたくらいの衝撃でよろけました。怪我はしなかったですけど、人通りのない早朝に“何!?”って、とにかくビックリしましたね」

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 とは、都内在住の40代男性。散歩中のカラスの攻撃にとても驚いたそう。

「実験中、 私も何回もカラスに当たられたことがあるんですが(笑)、結構、強いですね。威嚇攻撃されたことは1回あって衝撃はあります。カラスも勢いよく飛んでくるので、当たり所が悪ければ、それが直接の原因ではなく、よろけて転んだりという怪我は考えられるかもしれません」

 カラスの威嚇攻撃を教えてくれたのは、国立大学法人・宇都宮大学バイオサイエンス教育センター特任助教で株式会社CrowLab代表取締役の塚原直樹 さんだ。塚原さんによれば、このカラスの威嚇攻撃はまさにシーズン真っただ中だという。

――なぜ、今が威嚇攻撃の“シーズン”なのか?

「地域により時期は多少ずれますが早ければ5月の初めから7月くらいまでは人への威嚇攻撃が多くて、一番多くなるのがヒナが巣立ちをする時。ヒナは巣立った後も親からえさをもらったり、飛ぶ練習をしています。その期間が、親であるカラスの人への威嚇攻撃が一番多いんです。ヒナがまだ飛ぶのが上手ではなくて、さらに警戒心も薄く、人がよく通る道路で休んでいたりするんです。そんなことを知らずに人間が近づいてしまうと、カラスの親からすると、“ヒナが襲われる”と勘違いして、決死の覚悟で攻撃してくるとうのがほとんどです。ヒナの巣立ちがちょうど今で、威嚇攻撃が多くなる時期です」

――威嚇攻撃と言うと怖い感じがするが実際は?

「カラスの体重も600~800グラムなので、勢いよく飛んでくるというのはありますが、倒れ込むほどのことではないです。カラスも人を威嚇攻撃する時は、積極的に“コイツを襲ってやろう”としているのではなくて、カラスに自分の子どもであるヒナがいて、その子どもを守るために敵をどこかに追っ払いたくて威嚇をするわけです。カラスからすると、ヒナを守ろうという時はパニック状態というか、かなり焦っている。だから、目測謝って勢いよくぶつかってくることもあるんです」

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コロナ禍でカラスの生活にもある変化が