――コロナ禍でカラスにも“変化”が?
「コロナの影響と言いますと、カラスの餌場 の変化ですね。都市部の繁華街が緊急事態宣言などで営業自粛ですとか時短営業で、繁華街から出るごみの量は明らかに減っていると思うんです。一方、ステイホームによる家庭ごみが増えている。それに伴って、住宅街のごみの量は増えている。各餌場の餌の量が変わることで、カラスにとっての行動が変化することは考えられます」
――住宅街でカラスが増えている?
「ステイホームになった当初、生ごみだけではなくて、家の掃除をして不用品を出して、ごみ全体の量が増えたという話も聞きます。結果として、カラスよけネットで覆えていたごみが、はみ出るくらいになってしまっていて、はみ出しているところをカラスが狙ってくる。カラスにとってはごみへのアプローチがしやすくなっている。“あのごみ置き場はいい餌場だ”と覚えられてしまって、住宅街ので目撃されるカラスやカラスによるごみ荒らしの被害は増えている可能性はあると思います」
――餌場の変化で住宅街へ?
「カラスの行動範囲は数キロに渡ります。繁華街を餌場にしていたカラスが、“ここは餌が出ないから住宅街に行く”という餌場を変えるというのはありえます。ただ、その影響でカラスの住処が変わるとか、年間を通じて生息域が変わるとかは考えにくく、数キロを1日で移動してしまうので、その規模感からすると、コロナだからは関係なく、カラスの個体数そのものは変化しない。
ただ、住宅街でカラスが増えたと感じていらっしゃる方もいて、その理由のひとつは先ほどお話したごみ全体の量が増えたためにカラスに荒らされるような現場を見かけるから。さらに、ごみがたくさん出るので回収の時間も遅くなってしまっている。それによって、カラスに狙われる時間も長くなる。そういう意味で、荒らされる機会が増え、ごみ置き場でカラスを見かける機会が増える。あとテレワークで普段は家にいないお父さんなどコロナ禍でなければ朝には出勤している人が、住宅街でカラスを見る機会が増えたとも考えられます」