これが「男性で毎日40グラム以上 女性20グラム以上」になると「危険な飲酒」となり、さらに「毎日60グラム以上」は多量飲酒とされ「有害」な領域に進む。さらに進むと「依存症」となる。

 筆者のこの一年ほどの純アルコール摂取量を計算すると、平日はだいたい160グラム。休日は240グラムだった。多すぎ……なのかな。実感は正直、湧かない。

 さらに、世界保健機関(WHO)が作成した「AUDIT」というスクリーニングテストを行なった。

 10の質問に答え、40点満点のうち15点以上だと減酒が必要な「プレ依存症」。20点以上が「依存症疑い」、24点が「依存症患者の平均点」だそうだ。

 こちらは26点だった。

 こうした結果を参考に、倉持医師は結論を伝えてきた。

「どこからが依存症と断定するのは難しい面もありますが、(筆者の)純アルコール摂取の多さやAUDITの点数、肝機能に少し問題が出ていることを考えると、依存症に入ると言っていいかもしれません。本来は断酒する必要がありますが、減酒が希望ですよね?」

 依存症だろうと言われても、あまりピンとこないし、ショックもない。これも「否認」の表れなのかもしれない。

■減酒薬と減酒にっき

 筆者「断酒ですか…おそらく無理です…ゼロというのはいきなりは考えられません」

 倉持医師「わかりました。減酒の薬を出しますので、まずは量が減るかやってみましょうか」

 2019年に保険適用された国内初の減酒薬「セリンクロ」を処方してもらった。脳の酒を欲する欲求を抑える作用があり、少量の酒で満足できる効果がある。

 同時に紹介されたのが、スマホの「減酒にっき」というアプリだ。

 服薬の有無、飲酒の有無と飲んだ量を入力すると、純アルコールの摂取量を自動的に計算してくれる。あとは、その日の状況を簡潔にメモできる。

「次回の診察の際に見せてください。もし飲んでしまっても怒ったりしませんから」と倉持医師は笑った。薬だけ処方したら、あとは患者任せという形ではなく、月に1回くらい通院して減酒アプリを見せ、できたことを医師がほめる。心理的ケアと合わせて改善を図るのが減酒外来のやり方だそうだ。

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