ここ最近、酒の量がどんどん増え、仕事にも影響が出始めてしまった日々をなんとかしようと、「減酒外来」の受診を決意した44歳の筆者。自分はアルコール依存症なのか、減酒薬がもし処方されたとして、効果はあるのか。都内のクリニックが開設している「減酒外来」に取材後、診察が始まった(本記事は前編「深夜まで飲んで仕事にも影響…酒依存に悩む記者が『減酒外来』受診でわかった意外な事実」から続く)。
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東京・秋葉原にある「さくらの木クリニック 秋葉原」。アルコール外来の一つとして2015年から「減酒外来」を開始した。男女問わず、自分の飲み方に不安を抱き「酒量をコントロールしたい」と願う人が次々と来院するそうだ。現在、減酒外来の初診は2カ月待ちという“人気ぶり”だ。
院長の倉持穣医師の診察が始まる。
どうして飲む量が増えたのかなど、まずは私生活の状況などを聞かれた。雑談のようで、硬い雰囲気ではない。
昨年、妻と死別して以降、酒量が一気に増えたこと。コロナ禍で友人たちとの交流が途絶える中、特に4月以降は家で飲む量がさらに増えたこと。夜中まで飲み続けてしまい、仕事にも影響が出始めていることなどを正直に伝える。
■「純アルコール量」の確認
倉持医師によると、死別や離別がきっかけで酒量が増えて依存症になる人もおり、珍しくないことだそうだ。自分が特別ではないことに、少し安心もする。
筆者がどんな酒をどのくらい飲み、何グラム「純アルコール」を摂取しているのかを確認に入る。
純アルコール量は、お酒の量×アルコール度数×0.8ではじき出す。アルコールは水分より軽いため、アルコールの比重である0.8をかけて質量に直す。
例えば、500ミリリットルでアルコール5パーセントの缶ビールなら、500×0.05×0.8=20で、その中に含まれている純アルコールは20グラムとなる。
アルコールの分解能力には個人差があるものの、週2日の休肝日を設ける前提で、この純アルコール量が「男性で毎日20グラム以下 女性10グラム以下」が「害のない飲酒」に該当するという。先の例えでいえば、男性ならば害のない上限で、女性はすでにオーバーしている。