否定的なものはひとつもなく、すべてが「命は長さより濃さ」という励まされる内容でした。
それでも。
小学生の子どもからすると、『命は何よりも大切』と教えられているはずなのに、次女には私たちが選ぼうとしている『命より大切なこと』に納得できないようでした。
■命は長さよりクオリティー
次女がもやもやした気持ちを家族以外でも誰かに話せればよいと思うものの、おそらくどんなに仲のよい友人たちにも言えなかったはずです。私はこんなにたくさんの方に支えてもらっているのに、次女は長女に対する気持ちをひとりで抱えなければならないのかと思うと、切なくなりました。
本当はこんな時こそ、ちゃんと向き合って、「大丈夫だよ。傍にいるよ」と伝えるべきでした。でも、私と夫は次女から見るととても非情な人間であり、この頃はどう頑張っても思うように気持ちが届きませんでした。
命は大切。これは絶対。
でも、命は長さよりクオリティー。
難しい選択ですが、これからも長女が望むと思うことを、精一杯考えていきたいと思っています。
〇江利川ちひろ/1975年生まれ。NPO法人かるがもCPキッズ(脳性まひの子どもとパパママの会)代表理事、ソーシャルワーカー。双子の姉妹と年子の弟の母。長女は重症心身障害児、長男は軽度肢体不自由児。2011年、長男を米国ハワイ州のプリスクールへ入園させたことがきっかけでインクルーシブ教育と家族支援の重要性を知り、大学でソーシャルワーク(社会福祉学)を学ぶ
※AERAオンライン限定記事