あるときに千葉県にいる私の元に、実家のご近所さんからメールが届きました。「尚子さんの実家、夜になっても電気がついていないの。お母さん大丈夫かな?」と。その日の母は急な検査入院で不在だったのですが、見守ってくれていたんだ!と感激しました。

 そうは言っても、ご近所や親戚の「善意」だけに頼るのは何かあったときの後悔にもつながります。公的な見守りサービスを利用することも忘れてはいけません。

 自治体の多くは、高齢者のみの世帯に「緊急通報システム」を導入しています。体調が悪いときに緊急通報ボタンを押すと、業者のコールセンターなどにつながり、必要に応じて家族にも連絡が行くというものです。

 ほかにも、新聞やお弁当、牛乳などを宅配しつつ安全確認してくれるサービスもあります。また、市販の見守りグッズや企業による見守りサービスもあるので、親の希望などを聞きながら導入を検討してみてはいかがでしょう。

 相談窓口はいくつかあります。まずは、親の住む地域の「地域包括支援センター」。ここは高齢者やその家族の、よろず相談窓口のようなもの。まずはそこに相談して情報を集めましょう。ほかにも、社会福祉協議会や保健センター、民生委員などに相談することもできます。

 もうひとつ大事なことは、親の自宅の安全対策を進めることです。国民生活センターの調べによると、高齢者の事故の約8割は自宅で発生しています。階段や踏み台からの転落、小さな段差などでの転倒が半数以上です。

 帰省したときに、部屋の片づけ、手すりの設置、ものの置き場の見直しをしてみましょう。過去に転んだことのある場所、ヒヤッとした経験のある場所を洗い出して、手すりなどを設置してもいいと思います。要支援1以上の人なら、20万円まで介護保険が利用できます(補助は9割まで)。

 屋外では、庭木の剪定や屋根の雪下ろし時の転落する高齢者があとをたちません。「いままでできていた」ことをどう手放すか、親と相談したいものです。

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