コロナ禍は、いつ終わるかわかりません。その慢性的なストレスに、子どもたちは息苦しさを感じています。学校生活がきつかった子どもはストレスが一押しになって不登校になったり、またストレスをためた人からはいじめを受けてしまったりしています。国立成育医療研究センターの調査によれば、小学4年生から高校3年生の4人に1人が中程度以上のうつ症状に該当していました(※第4回コロナ×こどもアンケート調査)。

 大人も同じようにコロナに苦しんでいますが、子どもを支えるために何ができるのか。私は自分自身が不登校を経験し、たくさんの不登校を取材した経験から、子どもが周囲にいる大人に、2つだけお願いがあります。

 もしも子どもが「学校へ行きたくない」と訴えたら、それは命に関わるSOSだと捉え、「わかった」と言って休ませてあげてください。NGワードは「もう少しがんばってみよう」です。大人の知らないところで、子どもは限界ギリギリまでがんばっています。「もう少しがんばってみよう」という一言に、絶望してしまうことがあります。「わかった」と言って休ませること、これが一つめのお願いです。

 二つめは「不登校のその先」を調べて子どもと共有してもらいたいのです。不登校の子を受け入れているフリースクールや教育支援センター、通信制高校などを調べてほしいのです。ネット検索だけでもありがたいですし、フリースクールや通信制高校のオンラインセミナーを受けるならば、なおよいと思います。そこで得た情報をもとに「もしも学校が苦しかったらこんなところがある」と子どもと事前に話しておくこと。いわば「心の避難経路」を確認する作業は、とても大切だと思うのです。残念ながら、2020年の10代の死因トップは自殺でした。 災害病気と同じように、どんな子にも事前対策をしてもらいたいと思います。

 とても気がかりな夏休み明けですが、学校が苦しくても、早めの避難ができれば新しい出会いも生まれます。不登校でも、その子なりに成長があるのです。私も周囲の不登校児もそうでした。というより、不登校だった私たちは、いまではふつうのおじさん、おばさんです。私も10代のころは「生きづらい」と感じてましたが、30代をすぎて「痩せづらい」と悩んでいます。そんなもんです。もしも周囲の子どもに何かあれば、あせらずに休ませて支えてあげてほしいと思っています。(文/石井志昂)

石井志昂(いしい・しこう)/1982年、東京都町田市出身。中学校受験を機に学校生活があわなくなり、教員や校則、いじめなどを理由に中学2年生から不登校。同年、フリースクール「東京シューレ」へ入会。19歳からNPO法人全国不登校新聞社が発行する『不登校新聞』のスタッフとなり、2006年から編集長。これまで、不登校の子どもや若者、識者など400人以上に取材してきた

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