しかし、東南アジアの地域で再生されると、1000万回再生されても平均的に3万円程度になってしまうのです。日本での1再生の単価は、東南アジアでの100倍にもなるのです。2000万回再生させても広告収益が8万円だったり、200万人以上の登録者がいでも1カ月の収益が5万円前後だったりというYoutuberもいます。海外再生や世界的にコンテンツを拡大することは一見すると非常に華やかですが、日本より貧しい国で再生されると対価が100分の1以下に落ちることもあるのです。海外展開を経験したYouTuberは、世界の貧困を体感した存在とも言えます。日本は、自分たちが思っている以上に豊かな国なのだ、とグローバル展開して初めて実感するのです。

 先日、カンボジアの郵政省が、社会や教育分野で有益な情報を提供するYouTuberに対して、総額10万米ドル(計1100万円)の予算を計上すると発表しました。何度読んでも、「合計で1100万円」です。1組あたり日本円で10~30万円程度の報奨金です。日本だと、なかなかモチベーション向上に繋がりにくい数字です。もちろんYouTuberの収入は、動画の再生収益だけではありません。しかしながら、物販をするにしても日本人にとっての100円が、海外の人にとっては1万円のようなこともあります。海外に展開するよりも、国内でコンテンツを定着させることに転換するYouTuberも多いです。

 日本のYouTuberの動画と、海外のコンテンツの差は収益面だけではありません。例えばサムネイルは、日本のYouTuberは太く、大きく、文字が書いてある画が多いのですが、アメリカのYouTuberのサムネイルや、映画のポスターは文字情報が少ないです。視覚に訴える感性の違いやデザイン性の趣向の違いもありますが、識字率も理由のひとつです。移民や多国籍文化のアメリカでは必ずしも全員が同じ文字を読み書きできるわけではないため、ある種のバリアフリー設計とも言える状態です。根本的な文化や宗教や背景、格差の度合い等が異なるため、現地のカルチャーに合わせる労力が非常にかかります。

 もし、海外にコンテンツを展開するとしたら、日本より豊かな地域に展開しなければ、ドメスティックにするよりも多くのコストがかかり、リターンが少ない状態になるのです。以上の理由で、海外展開路線ではなく、国内展開に帰着します。普段、生活していて日本の豊かさや平和さを実感することは少ないのですが、日本という国は、自分たちが思っている以上にチャンスが与えられている国です。

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