──書籍にはできるだけたくさんのお悩み相談を掲載しましたが、言ってみれば自分と関係ない「見ず知らずの他人の悩み」です。そんな本を、読者はどう読んだらいいのか、こんなことを感じてもらえたら、という思いがあればお聞かせください。

 今の時期は本当に、これまであった社会の悩みと、この自粛の生活の中で生じる悩みが大きく変わってきているタイミングだと思います。お悩みの相談本なのですが、おやつを食べながらだったり、飲み物を飲みながら読むのにちょうどいい長さと内容になっているので、もしよければ手に取ってみていただけたら嬉しいです。自分と似た悩みがけっこうあったりするし、自分で言うのもなんですが、けっこう回答パターンが独特なので、楽しく読んでいただけたら嬉しいです。

しいたけ.さん名言集

<立ち食いそば屋で、精神の自由さを感じてみる>
立ち食いそば屋は、みんなが「ただ蕎麦を食う人」に戻る空間。
年齢を重ねた人ほど、ゼロになる体験を。
ちやほやされない環境を自らの意思で選んでいく人って、かっこいい。

<実力で壁に突き当たったときは人柄を伸ばすとき。人柄で行き詰まったときは実力を伸ばすとき>
両輪で回っています。完璧になればなるほど嫌みになって、人が離れてしまう場合も。

<相手の好き嫌いに気づくことから>
「卵焼きはその焼き方が好きなんだね」「こういうのは嫌いなんだね」。
相手の好き嫌いに気づくことから、コミュニケーションは始まります。結論を急がずに。

<アイデンティティーはいくつあってもいい>
美容院でおまかせにしたり、洋服屋さんのおすすめを買ってみたり。
「別人体験」でアイデンティティーが増やせたら、新しい可能性の扉が開くかも。

<なにかに、誰かに、パスしよう>
ポジティブなものも、ネガティブなものも。外に向けて出していく。
その場で留めておかない。

<意欲はくだらないことから湧いてくる>
エネルギーが湧いてこないときは、先のことを決めない。
「深夜にラーメンを食べたい」とか罪悪感を覚えるような意欲からかなえて、積み重ねていけばいい。

<落ち込むポイントは「二つまで」のルールを>
「あれもこれもダメ」と責めていたら、ここまで頑張ってきてくれた自分に対して失礼になってしまいませんか?

<運の体力がないときは、冷蔵庫とか水回りとか、1日1回どこか磨いてみる>
「今日は冷蔵庫を磨いた」という小さな誇りを、自分の中に残しておくこと。それは小さな「勝ち」。
そのうちに運の体力がついてきて、「行けそうな気がする!」っていう日がきます。

<「これはできません」が言えない関係では、どちらかが壊れてしまう>
つらいときに支えすぎてしまうと、別れがやってくる。
相手にとっては「借り」ができてしまうから。

<誰かとパートナーになることの面白さは、自分がどう変われるか>
変化によって自分が改めて評価されることは、パートナーに報いることにもつながる。

(構成/編集部・高橋有紀)

AERA 2021年9月13日号

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