──他の人生相談との違い、しいたけ.相談室の特徴や、しいたけ.さんが大事にしている「人生相談の心得」のようなものがあればお聞かせください。
変な言い方になってしまうのですが、悩みって、その人と長年一緒に暮らしてきた親友みたいなところがあるわけじゃないですか。腐れ縁的親友。良いにせよ、悪いにせよ、その人の生活の匂いとか、信念までも知っているその「悩み」って、絶対に「大事な価値観」が含まれていると思うんですよ。そんな貴重なものは、大切に扱わなきゃいけない。
「悩み=取り除くべきもの。悩みを持った人=すぐに性格を変えた方がいい」というのは、少し乱暴に感じられてしまう。どの人も光と影の二つを持っている。「自分には個性がないんです」と言ってきた人は、その人がいてくれたおかげで助けられた人がけっこういたりする。無個性だから人の痛みがわかった。簡単にプラスとマイナスで考えちゃいけない。それは僕が人生相談の縁をいただくことで心に留めていることです。
■回答パターンが独特
──連載は3年目に突入し、毎週いろんな悩みが寄せられていますが、回答のバリエーションは豊富で尽きることがありません。どのようにして、一人ひとりに合わせた回答を導き出しているのでしょうか。
ありがとうございます。自分で喋っても気持ち悪いのですが、僕は人が抱える悩みってちょっとだけ愛しいものだと感じてしまいます。人付き合いとか、リアクションって、正直に言うと多少は嘘がつけます。でも、悩みってその人の「嘘がつけない部分」じゃないですか。「どうしても歌手になりたい」とかって、それを持っていなかったらもっと楽な人生を送っていたかもしれない。
悩みに貴賤はないと思うし、他人からみて「その程度のこと?」と言われてしまうことも、自分にとってはすごく大事で厄介なもので。そういう悩みに、受け手としてちゃんと誠実に向き合う。テクニックとかじゃなくて、それしかない気がします。