量子の世界では「非局在性」という不思議な現象があります。いったん絡み合った量子を宇宙の彼方に引き離しても、一方の状態の変化に合わせて、もう一方が瞬時に反応するというのです。つまり遠隔操作が起きるわけです。この「非局在性」が、現実世界とゼロ・ポイント・フィールドがつながることに関係しているのかもしれません。

 でも、このように深層自己が生き残ったとして、先に死んだ肉親や飲み友達と再会できるのでしょうか。それができなければ、死後の世界は面白くありません。ところが、うれしいことにできるというのです。ただし、再会できるのは、「自我意識」が消えて「超自我意識」になった肉親や友人です。ゼロ・ポイント・フィールドでは意識のレベルがより高度になっているというのです。

 私たちが死んだ後、ゼロ・ポイント・フィールドに残された「自我」は「超自我意識」に変容していき、さらにその「超自我意識」も、その領域をどんどん拡大していき、「人類意識」と呼ばれるものに到達するそうです。そして、さらに「宇宙意識」に発展するというのです。壮大なドラマですね。これは、私がいつも語っている死んだら虚空に還るというイメージと重なります。この話で死後の世界がいよいよ楽しみになってきました。

帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中

週刊朝日  2022年11月25日号

暮らしとモノ班 for promotion
大谷翔平選手の好感度の高さに企業もメロメロ!どんな企業と契約している?