西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)氏。老化に身を任せながら、よりよく老いる「ナイス・エイジング」を説く。今回のテーマは「『死は存在しない』を読んで」について。
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【死後の世界】ポイント
(1)量子科学が死後の世界を示しているなら読んでみたい
(2)「現実自己」のほかに「深層自己」があり生き続ける
(3)残された「自我」が最後は「宇宙意識」に発展する
原子力工学の博士号を持ち、経営学にも造詣が深い田坂広志さんが書いた『死は存在しない』(光文社新書)を読みました。サブタイトルに「最先端量子科学が示す新たな仮説」とあります。
80歳を過ぎた頃から、私にとって死後の世界の存在は確信の域に入ってきているのですが、どのようにして、私たちのいのちが虚空(あの世)に還っていくかについては、漠然としています。量子科学がそれを示しているなら、読んでみたいと思いました。
田坂さんは現実世界を生きる「現実自己」のほかにゼロ・ポイント・フィールドという場所に深層世界を生きる「深層自己」が存在し、現実自己が死んだ後もこちらの深層自己は生き続けるのだと論じます。
このゼロ・ポイント・フィールドの存在については哲学者・未来学者で世界賢人会議「ブダペストクラブ」を主宰しているアーヴィン・ラズロが著書『叡智の海・宇宙』(日本教文社)などですでに語っています(ラズロはAフィールドと名付けている)。こうしたアイデアを発展させたのが田坂さんの論のようです。
このゼロ・ポイント・フィールドは宇宙を生み出した場所である「量子真空」のなかにあるといいます。この量子真空の存在はすでに証明されていますが、ゼロ・ポイント・フィールドの存在はまだ仮説です。この場所に宇宙のすべての出来事の情報が記録されているというのです。