昔はよく見かけた駄菓子屋さん。最近は街角から消えつつある
昔はよく見かけた駄菓子屋さん。最近は街角から消えつつある
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「因数分解や微分積分なんて生きていくうえで必要ない」という言葉を聞くことがあります。

 これは、数学のおかげで科学技術が進歩していること、私たちがその恩恵を受けていることを意識しないからこそ、出てくる言葉でしょう。

 ただ、研究者や専門職でなければ、私たちが日常で使うとなると、足し算と引き算、掛け算と割り算あたりが主になるのも事実です。 

■算数の問題文にはリアリティーがない

 けれども、塾で小学生に算数を教えていると、足し算や引き算でさえ、どこかリアルに感じていない児童がいると感じることがあります。

 そもそもですが、学校の教科書や問題集でよく見る、「50円のりんごを3個と30円のみかんを5個買ったとき」「5メートルの間隔で木を植えたとき」というような問題は、いまいち現実的とはいえません。

 小学生が1人でりんごとみかんを買いに行く機会なんて少ないでしょう。みかんも現実のスーパーなどではバラ売りではなくセットの袋で売っていることが多いです。小学生が5メートル間隔で木を植えるなんて、言わずもがな。

 つまり、学校で教える問題自体も、ややリアリティーがないのです。

 さらに数学は、学年が上がるにつれ、ベクトルや複素数のように普段は使わない内容が多くなっていく学問です。

 ですから、小学生のときに身近に感じられないならば、中学生になればなおさら、ますます「日常とはかけはなれた存在」になる一方なのです。

 だからこそ、「小学生のときに算数を日常でリアルに感じること」が大切です。

■「駄菓子屋さん」で真剣に計算した経験

 そこで、「私が小学生のころは、どんなシーンで足し算や引き算をリアルに使っていたか?」と考えてみました。

 そこで真っ先に思い浮かんだのは、「駄菓子屋さん」です。

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