女子大もコロナ禍のあおりを受け、21年卒の平均実就職率(大学通信調べ)は4.3ポイントも下げた(大学全体で3.3ポイント低下)。就職情報を提供するマイナビの編集長、高橋誠人さんはこう語る。
「もともと女子大は99%以上の就職率を誇る学校があるくらい、就職の強さが売りでした。しかし、女子大で人気の航空・旅行業界はコロナ禍で就職が厳しくなりました。さらにコロナ禍前からメガバンクへの就職は、DX(デジタル化による変革)、AIの導入による無人化の方向で一般職の人数が絞られています」
例えば、同志社女子大学は21年卒の就職内定率を1ポイント以上落とした。JALやANAは毎年20人近く入社する最大の就職先だったが、21年卒は0人だった。同大を今春卒業した神奈川県在住の女性(23)も、当時は航空業界を志望していた。
「周りには航空業界を志望する人が多かったです。航空業界の就職がなくなり、燃え尽きて一時は『就活をお休みするね』という友だちもいました」
同大キャリア支援課の西岡慎介課長は、コロナ禍前からあった一般職採用の減少の影響が最も大きいと言う。
「総合職への就職は共学の学生との戦いになりますが、女子大の丁寧さを生かした支援に力を入れています。大人数のセミナーだけでなく、学生がエントリーシートを実際に書いてみる少人数講座も開いています」
東京女子大学キャリア・センター課の森田光則課長も、学生の支援に苦慮してきた。
「女子大はきめ細やかな対応が強みですが、コロナ禍で学生が学内に入れなくなりました。オンラインで説明会などを開きますが、学生とのつながりが薄くなりました。学生の今の状況が十分にわかりません」
そこで、ウェブサイトでチャット相談を開始した。
「コロナもあるから早く動く学生もいれば、どうしたらよいか分からず動けない学生もいて二極化が心配です。いつでも質問できるよう、24時間自動応答の機能にしました。込み入ったことなら、キャリアカウンセラーがチャットで応対する機能もあります。そこからオンラインの個別相談にもつなげられています」(森田課長)
写真投稿アプリ「インスタグラム」のライブ配信機能「インスタライブ」のようなイメージで、職員がオンライン上に登場して、学生たちの前でチャット相談に答えることも始めた。(編集部・井上有紀子、深澤友紀)
※AERA 2021年10月25日号より抜粋