青山学院大学も、航空・旅行業界に多くの卒業生を送り込んできた。例えば20年卒を見ると、ANAには調査対象52大学で最多の41人、JALには同3番目の32人が入社した。同大は20年4月、全4年生を対象に緊急アンケートを実施。すぐに約10%にあたる約500人から「不安で就職活動が進められず相談したい」という回答が寄せられた。進路・就職センターの祖父江健一事務部長はこう話す。
「就職活動へのモチベーションをどうしても持てない学生は例年数%はいますが、コロナ禍で10倍に。職員がすぐに電話をかけて相談を受け始めました」
一方で、学生から「隠れた良い企業はどこですか」と問われることが増えたという。
「学生は名前を聞いたことのあるBtоC(消費者向け)の企業ばかり見てきましたが、こうした企業は景気や社会の影響を受けやすいと考え、BtоB(法人向け)の企業にも目を向け始めました」
コロナ禍前、同大から10人以上就職した企業は毎年30社以上あった。だが、21年卒はその数が3分の1に減って就職先が散らばった。航空・旅行業界を目指していた21年卒の女性(23)は法人向けに顧客管理事業を展開する企業に就職し、営業職として働いている。
「行きたかった企業に挑戦することもできずに悔しかったけど、就職センターの職員さんに何度も相談に乗ってもらい、最終的には働いている方々の人柄で決めました。仕事で様々な業界に携われるのが面白いし、(働く時間を自由に決められる)フルフレックスタイム制で働きやすい。今の会社に満足しています」
■不安のなかでも諦めず
関西学院大も航空業界に強い。20年卒のJALとANAの就職者数は計48人いた。だが、21年卒はJALへの3人にとどまった。その状況下でも国際学部4年の片山理咲子さんは、パイロット訓練生で内定を得た。
「コロナ禍で、22年卒の採用は全てなくなってしまうのではないかと思いましたが、諦めずに大学のキャリアセンターを活用して、先輩たちに話を聞きに行きました。話を聞けば聞くほど、社員一丸となって飛行機を飛ばしてお客さまに喜んでいただくという仕事の魅力に気付かされ、チームで何かを達成することにやりがいを感じる自分にフィットしていると思いました」