リズムダンスの演技をする村元哉中・高橋大輔組
リズムダンスの演技をする村元哉中・高橋大輔組

 10月28日、カザフスタンで行われた「デニス・テンメモリアルチャレンジ杯」において、フィギュアスケート・アイスダンスの村元哉中・高橋大輔組が金メダルを獲得した。アイスダンスの日本代表が国際スケート連盟公認試合で優勝したのは、史上初。3年目の「かなだい」が、昨季の四大陸選手権大会銀メダルに引き続き、新たな扉を押し開けた。

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 そんな中、同時期に開催された国内の西日本選手権大会で、アイスダンスのスコア集計にミスがあったことが判明。アイスダンスのルールや採点の難しさがクローズアップされる事態となった。連盟からは11月3日に修正されたスコアが発表され、順位などに変動が無かった事も公表されたものの、18日から北海道・真駒内で国際大会が開催されることもあり、関係者やファンの間には大きな動揺がはしった。

 西日本選手権で採点システムを運用したのは、システム開発企業のコムネット(名古屋市)。代表の澤田一也氏は、フィギュアスケートの元国体選手だ。

 フィギュアスケートのルールは、毎年改正される。特に五輪の後には大きな変更があるのが常だ。同社では、新ルールへのシステムの対応に関しては、長年の実績と信頼関係に基づき、日本スケート連盟からの仕様指示を待たず独自で確認・設計しているという。

 アイスダンスでは今季、ステップに関する採点方法がより複雑になった。新ルールでは、男女別々に評価されたレベル(実施要素の難易度)にそれぞれ出来栄え点(GoE)が加味され、その全ての合計が得点となる。

 今回のミスでは、このGoEの加算が女性の分のみに留まってしまっていた。ステップが得意で出来栄え点を稼ぐチームはプラス点がほぼ半分となり、逆に出来栄え点でマイナスが付いた組は減点幅が半分になった、という訳だ。

「実は、10月30日の大会終了後、スコアになんとなく違和感を覚え手作業で集計してみたんです。その時点で計算上単純な間違いをしてしまったことが判ったので、当日の夜には連盟さんに即時報告を上げると同時に、急ピッチで修正を行いました」(澤田氏)

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システムの進化がミスにつながった皮肉