![人気YouTuber となってからも、よりわかりやすい動画を作るための努力は続けているという葉一さん(写真/高野楓菜・写真部)](https://aeradot.ismcdn.jp/mwimgs/3/6/682mw/img_3620eee4a65919e419f98da2674a475b54468.jpg)
そして1年後、センター試験では予想以上の点を取れたが、満を持して臨んだ前期日程の学芸大入試は「風邪のせいで頭がぼーっとして、初っぱなの問題の定理が出てこなかった。その瞬間、頭が真っ白になりました」。
センター利用で私大には合格していたが、家計的に進学は難しく、残された選択肢は二つ。自宅浪人か、後期日程で学芸大に合格するか。一時は机の前に座ると吐き気がするほど、精神的に追い込まれた。
「必死で勉強した成果を発揮できなかったことが、何よりショックでした。でも10日後には学芸大の入試がある。もう合否はどうでもいい、とにかくやってきたことを出そうと思ったら、気持ちが切り替わりました」
そうして臨んだ後期試験。「直前に参考書を見ても焦るだけ」と割り切り、会場には大好きな漫画『スラムダンク』を持っていった。結果は、合格。
■生徒がサプライズ合唱 涙があふれた教育実習
入学後は、恩師の言葉通り、人間的にも、学力的にも優秀な仲間に恵まれた。
「4年生のとき、教育実習にも行きました。最終日、受け持っていた小5の子たちがぼくの好きな合唱曲を歌ってくれたんです。くっしゃくしゃになって泣きましたね。その日生徒たちからもらったアディダスのハンドタオルは、今も使っています」
だが一方で、教育実習で見た教育の現場はあまりにも忙しく、「放課後は、子どもたちとゆっくり語り合いたい」という夢をかなえるのは、容易でないことも実感した。「まずはいったん社会へ出て、将来子どもたちに伝えられる経験を積んでから、何らかの形で教育の現場へ戻ろう」。そう決めて教材の営業職や塾講師の仕事をした後、YouTubeでの活動を始めたのは、2012年のことだ。
「YouTubeは、視聴者側はお金を払わずに動画を見られますよね。ここに授業動画をあげたら、どんな子でも好きなときに見られるんじゃないかとひらめいて、その翌日には最初の動画をアップしました」