1年ほどは手応えが得られなかったが、自分の動画は学校や塾といった既存の教育では支えきれない子どもたちにとって、新しい「学びの選択肢」になると確信していた。家庭環境の違いや地域間格差を教育格差につなげてはいけない、自分の動画に「救われた」と感じる子が一人でもいればこの活動には意味があるという思いは、9年経った今も変わらない。
人気YouTuberとなってからも、よりわかりやすい動画を作るための努力は継続中だ。恩師同様、板書にはこだわる。行間は定規で測って調整し、誰もが読みやすいと感じる独自の手書き文字も作り上げた。
「何事もうまくやろうとせず、できることをやるのが大切です。入試は自分のそれまでの努力を発表する場だと思って、楽しめばいい。もちろん、完璧に楽しむのは難しいでしょうが、そういう視点があるだけで、勉強や試験への取り組み方は変わってくると思います」
はいち/1985年、福岡県生まれ。教育系YouTuber。東京学芸大学卒。YouTubeチャンネル「とある男が授業をしてみた」は登録者数160万人(2021年10月現在)。著書に『塾へ行かなくても成績が超アップ! 自宅学習の強化書』(フォレスト出版)などがある。
(木下昌子)
※「国公立大学 by AERA2022」(朝日新聞出版)から抜粋