東京・信濃町に立つ創価学会の「広宣流布大誓堂」(撮影/今村拓馬)
東京・信濃町に立つ創価学会の「広宣流布大誓堂」(撮影/今村拓馬)

「そんな指示は下りてこなかったですね。比例では公明党を応援しましょう、小選挙区は自分で自由に選んでくださいというのが基本姿勢なので、自主投票なんです。だから、甘利さんと書いた人も、太さんと書いた人もいる。私は入れる人がいなくて、究極の選択で、白票で出しました」(同)

 大和市でも、コロナ禍で閉業に追い込まれた飲食店は多い。それに対する甘利氏の対応にも不信感を抱いているようだ。

「みんな飲食店は大変だったのに、甘利さんは一度も回って来なかった。うちの近くでも体力のない店はつぶれていった。これ以上厳しくなったら困るんです」(同)

 この女性は、公明党議員を応援するために地方に行くこともあるという。

「地方へ行くのは、たとえば自分の故郷で、同級生や知り合いに公明党を勧めるためです。公明党は子育て支援に熱心でとてもいい政策を出している。ただ公明党からお金が出るわけではなく、みんな手弁当で応援しているんです。お友達に頼む以上、自分がヘンだと思う人は推せないですよね」(同)

 甘利氏は比例で復活当選したが、幹事長は辞任に追い込まれた。後任には茂木敏充前外相(66)の就任が決まった。

「小選挙区で審判がくだって落ちたのに、比例でゾンビみたいに復活するなんて、今の選挙制度もおかしいと思います」(同)

 大和市で、居酒屋を営む40代の女性もこう語る。

「祖父母の代から創価学会ですが……私は今回は、白票で出しました。甘利さんが何を言っているのか、よく知らないので」

 甘利氏は10月31日に出演した選挙特番で「全国から落選運動を強烈にやられ、誤解が広がった」と語った。こうした居丈高な姿勢が、創価学会員にも見透かされたのだろう。(AERA dot.編集部・上田耕司)

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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