あだ名についても「関係値ができてから」が重要です。いじめの報道で聞くような「○○豚野郎」などは「あだ名以前」の悪質な呼び方。いい関係ができている、自分の認める人からつけられたあだ名は、うれしがっている子もたくさんいます。もちろん授業中など「さん付け」で呼んだほうがいい状況もある。TPO(時、場所、場合)さえわきまえれば、「さん付け」にこだわる意味を感じません。

 どう呼び合うにしても、お互いの信頼関係を高めた上で、がいちばん大事。エビデンスも不確かな「あだ名はいじめにつながる」という「余計なリスク」を排除する目的で議論が生まれている状況はおかしいですし、「『さん付け』に直せば、それでうまくいく」みたいな論調には違和感を持っています。

(編集部・小長光哲郎)

AERA 2023年1月30日号

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小長光哲郎

小長光哲郎

ライター/AERA編集部 1966年、福岡県北九州市生まれ。月刊誌などの編集者を経て、2019年よりAERA編集部

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