そして、翌年はコロナ禍です。そんな状態で受験を控えた最終学年がスタートしたわけですが、昨春からは一斉休校で塾も休みという落ち着かない事態になりました。その間、とにかく雪ちゃんは娘に寄り添い続けたのです。塾のオンライン授業の時に、割りこんで姿が映ったこともありましたが。
競技スポーツも結果が見える厳しい世界でしたが、中学受験も過酷だったと思います。今、放映されている『二月の勝者』という中学受験のドラマを家族で観ていますけど、まさにあんな感じ。親子で熱が入りました。娘は勉強も目標に向かって、集中して頑張りました。
元々負けず嫌いでしたが、スタートの遅れを取り戻し、娘は今年の2月、無事に志望校に合格することができました。
精神面では雪ちゃんの存在が大きかったですね。娘を、ずっと雪ちゃんが支えたんです。雪ちゃんはまるで、自分の役目をわかって家に来てくれたみたい。言葉を超えた触れ合いで。誰にもできないセラピーをしてくれた感じがします。
「雪ちゃんがいなかったら、競技での喪失感も癒えなかったし、受験時期の癒やしも無かったかもしれない」と思っています。
気づけば、猫を飼うことに不安を覚えた主人も「猫ってこんなに可愛いかったの?雪ちゃーーん」と。その猫撫で声に、娘と顔を見合わせて笑ったりして。雪ちゃんの一挙手一投足に家族中で夢中になり、家も明るくなっていきました。
◆2匹目の猫と、軽井沢でお見合い
受験が終わると、娘と「雪ちゃんに妹か弟がほしいね」と話すようになりました。
そのころ、保護活動をしているmaiさんのインスタグラムをチェックするのが日課になっていました。保護された猫が随時紹介されるのですが、7月、1匹の茶トラ猫が載りました。推定2カ月の男の子。ビビビときたというか、なぜか他の猫を見た時とは違う思いになり、<暑い中一人でよく頑張ったね……>という文に涙もこぼれて。その子の写真を何度も何度も見返しました。可愛いので、すぐ家族が決まるのだろうなと思いながら。