そして、5年生の夏。選考会を突破して合宿に参加できたのですが、娘が身を置く環境の中で、本人の気持ちが消化できないことが重なってしまい、そのまま秋の大会の予選は棄権することに。それまで一度も辞めたいと自分から言い出したことがなかったし、これからも続けていくと思っていた私も主人も心底驚きました。娘は競技から遠ざかりました。
スポーツを辞めた娘の顔からは、「笑顔」が消えていました。懸命に取り組んでいた故、娘の葛藤はとてつもなく大きかったはずです……。
家のムードも、沈みました。私もなんだか心にぽっかり穴が空いてしまったように感じていました。順風満帆だった競技をなぜ辞めたのかと周囲に声をかけられることもありました。なにより元気のない娘の姿をみるのが、あの時は本当につらかった。
◆「猫ちゃん飼いたい」ペットショップじゃなくても
そんな家族の沈んだ空気を吹き飛ばしてくれたのが猫でした。娘の希望で保護猫を迎え入れたのです。
競技を辞めてしばらくたってからある日、娘が突然、「猫ちゃん、飼いたい」と言いだしたんです。
娘とペットショップを覗いては、猫を抱いて写真を撮ったりして……その時は、保護猫のことをよく知らなかったのです。
そんな私に、主人が「猫が欲しいなら別にペットショップでなくていいんじゃない?どこかでもらえる猫ちゃんもいるんじゃないかな」と言いだしたのです。確かにネットで「保護猫」の検索をしてみると、“猫オンリーの参加型SNSサイト”があり、掲示板を覗くとたくさんの猫が出てきてびっくり。私が子どもの頃に飼っていた頃と、猫の状況も変わって、驚いたものでした。
11月、掲示板を見ていたら、豆大福の妖精と紹介された白い猫の写真がありました。納屋で生まれた兄弟と映っていたのですが、模様もおもしろいし、自分だけぐーっと前面に出ていて、家族みなで見て「可愛いね」と気にいりました。応募件数がたくさんあったのですが、人生初の「応募」をすると、すぐに保護主の方から「お見合いしませんか」とお返事をいただきました。