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Q そもそも、贈与税と相続税の仕組みは?
A 贈与税は生前、相続税は死亡時、といった具合に資産を渡すタイミングによって分かれる。
税金の決め方も異なる。贈与税は「暦年課税(暦年贈与)」と「相続時精算課税」の2種類があり、どちらかを選べる。
選ぶ人が多い暦年課税は、その年にもらった財産の合計から110万円の基礎控除を差し引いた額に対し、税率をかけて納税額が決まる。
相続についてのコンサルティング事業を手がける「夢相続」代表の曽根恵子さんは「非課税枠は比較的小さいものの、その範囲内で贈与を重ねれば妻や子どもに残す資産を圧縮できるので、相続税対策として活用されるケースは多い」と話す。
これに対し相続時精算課税は、生きているうちにもらった財産はそのつど贈与税を払い、そのうえで死亡後に相続した財産と、生前に贈与された財産とを合計して相続税の額を計算する。払い済みの贈与税の額を差し引くことで、最終的な相続税の納付額が決まる仕組みだ。2003年に制度がスタートした。贈与税と相続税を一体化した制度と言える。
生前にもらった財産にかかる贈与税は、累計2500万円まではいったん非課税となる。非課税枠を差し引いた財産にかかる税率は一律20%だ。
ただし、相続や贈与に詳しい山本宏税理士事務所の山本宏さんは、「効果的な節税につながらないこともあり、同族経営の会社株式の事業承継といった限られたケースを除くと、制度を使う人は限られる」と指摘する。
■「持ち戻し期間」5年、7年に?
一方、相続税は、相続した財産の合計から「3千万円+600万円×法定相続人の数」で計算する基礎控除を差し引き、額に応じて決まっている税率をかける。
法定相続人が妻、子どもの2人のケースならば3千万円+600万円×2人、つまり4200万円まで相続税はかからない。同じように、法定相続人が3人なら4800万円まで非課税だ。