まわりの人から、ああいう年の取り方をしたい、と思われるような生き方をすれば、老年もまた楽し、となるのではないか」
この外山さんの老いへの姿勢を私自身に当てはめてみました。
【1】まず「前向き」について。ホリスティック医学の追求をあきらめていないので、前向きです。毎晩欠かさず酒を飲むことも、憎からず思う女性とハグすることも、前向きに楽しくやっています。さらに太極拳の道には終わりがありません。
【2】「人の手を借りない」は、いまのところなんとかやっています。でも、いつ認知症になるかわからないし、下半身の衰えも心配です。そうならないために本誌で連載した「『健脳』養生法」を実践していますし、牛肉を食べて、昆布だしでカルシウムを摂(と)っています。
【3】「人のために」。医師として患者さんの生きる悲しみに寄り添うことで、少しでも役に立てたらと思っています。まだまだ、現役の医師を続けるつもりです。
【4】「まわりの人から」。しばらくぶりに診察にきた患者さんに「先生、お若いまま。すごい!」とほめられると、悪い気はしません。
皆さんも外山さんの老いへの姿勢をご自身に当てはめてみてください。96歳まで生きた大先輩の言葉は傾聴に値します。
帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中
※週刊朝日 2022年11月11日号