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 西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)氏。老化に身を任せながら、よりよく老いる「ナイス・エイジング」を説く。今回のテーマは『老いの整理学』について。

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【華麗に加齢】ポイント

(1)外山滋比古さんの『老いの整理学』を読んでみた

(2)外山さんはナイス・エイジングの大先輩だった

(3)外山さんの老いへの姿勢を自分に当てはめてみよう

 英文学者で評論家でもある外山滋比古さんの『老いの整理学』(扶桑社新書)を読んでみました。外山さんは2年前に96歳で亡くなった大先輩です。自分の頭で考えることの大事さを説いた著書『思考の整理学』(筑摩書房)が大ベストセラーになりました。『老いの整理学』というタイトルは、そこからきているのでしょう。90歳の時に書かれた本で、すでに15刷まで出ていますから、こちらもよく売れています。うらやましい(笑)。

 この本のなかで、「世間ではアンチ・エイジングをもてはやす。商売に利用しようとする向きもあるらしいが、アンチ、というのがいやらしい」と言い切っています。その上で自分のことを「自慢ではないが、『華麗な加齢』のつもりである」というのです。まさにこれは、ナイス・エイジングの精神です。外山さんはナイス・エイジングの大先輩だったのだとわかり、うれしくなりました。

 この本の「はじめに──生き生きと老いる」のなかで外山さんは、ご自身の老いへの姿勢を書いていらっしゃいます。それに共感しました。

「もっと前向きに生きたい。

 これからまだ、いいことがある、と信じたい。

 なるべく、いつまでも、人の手を借りないで、自分のことは自分でする力を持ち続けたい。

 さらに、できれば、少しでも、世のため人のためになることをしたい。小さな欲をはなれて、大きなことができないかと考える。

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