立命館では00年代に情報理工学部など4学部、10年代に食マネジメント学部・グローバル教養学部など4学部を設置した。約20年で八つも新学部が生まれたことになる。
「社会の高度化やグローバル化が進むと、新たな学問領域が必要となる。そうした要請やニーズに応える中で、新しい学部の開設を進めてきた」
木田成也常務理事はこう話す。新たな学部を作る際、意識するのが学問領域や取り組みのオリジナリティーという。18年にできた食マネジメント学部は、食ビジネスから栄養まで、総合的な角度で「食」を学べる国内初の学部。19年に生まれたグローバル教養学部はオーストラリア国立大と協定を結び、全員が両大学の学位を取れる学部を、こちらも国内で初めて整えた。
近年は、04年設置の情報理工学部も人気だ。近畿・理工と立命館・情報理工のダブル合格では、100%が立命館を選んだ。早川貴・入学センター部長は「近ごろは他大でもデータサイエンス学部が設置されているが、情報系学部としての出だしは早かった」と話す。
近大は10年代に3学部を設置。11年には理工学部の一学科だった建築学科を学部に改組して「日本初の建築学部」と話題を呼んだ。
「近大は『革新』『挑戦』という言葉が似合う校風。既存の学部を今の時代に合った形に変えていく姿勢が、学部の増設へとつながっている」(入学センターの大宮淳史事務部長)
22年に新しく誕生するのが情報学部だ。先端IT人材の育成を目的に「知能システム」「サイバーセキュリティ」「実世界コンピューティング」という三つのコースを用意。今年11月にあった推薦入試(一般公募)では、142人の定員枠に4593人の志願者が集まった。倍率は32倍。前身となる理工学部情報学科と比べて約3倍と、早くも人気を集めている。
今年躍進した大学はいずれも、伝統や知名度に加え、入試変更や学部増設といった改革に前向きな姿勢が共通していた。受験生の進路選択において、「改革力」が重要なポイントになっている。(本誌・松岡瑛理)
※週刊朝日 2021年12月31日号