ダブル合格者の決め手になる基準に変化が起きている──。各大学が推し進めている改革によって、その序列が崩れ始めているのだ。大手予備校・東進ハイスクールのデータを元に、各校が選ばれる理由を分析した。
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◆日東駒専で目立つ東洋、駒澤 理事長逮捕で日本の受難続くか
日本大学が先行する「日東駒専」の関係が変化した。追い上げるのが東洋、駒澤両大学だ。
日本と東洋にダブル合格した場合、東洋に進学する比率は18年は36%だったが、19、20年と上がり続け、21年には78%の合格者が東洋を選んだ。同領域の学部で比べても、東洋・経営と日本・経済で93%、東洋・経営と日本・商では100%が東洋を選んだ。
駒澤も負けていない。日本と駒澤とのダブル合格で駒澤を選ぶ割合は18年は2割未満だったが、20年に4割を超え、21年には53%と半数を超えた。
潮目が変わるきっかけは、18年にあった日大・アメリカンフットボール部の問題だった。監督からの指示で他大学の選手にタックルをして負傷させたことを選手が会見で公表。世間の批判が集中した。大学通信の安田賢治常務は「部活をしている高校生からすれば、わが身に置き換えられる話題だった。タックルを指示された選手に共感し、日大を敬遠する子は多かっただろう」と話す。
さらに今年11月、日大の田中英壽(ひでとし)理事長(当時)が所得税法違反容疑で逮捕され、その後、辞任した。日大の志願者はさらに減るのだろうか。安田さんはこう見る。
「理事長が辞めてウミを出し切る期待もあり、アメフト事件ほどの影響は考えにくい。受験を決めていれば、受けるだけ受けて、合格発表後に入学を再検討する層が多いのでは」
東洋、駒澤の両大はどう認識しているのか。
東洋の加藤建二入試部長は、「本学はキャンパス移転や学部・学科の再編成などを計画的に実行し、あわせてグローバル化にも注力している。こうした高等教育機関としての総合的な取り組みが評価されているのではないか」と話す。