松坂大輔(西武)、斎藤佑樹(日本ハム)ら入団時から注目された選手の引退も相次いだ2021年。ほかにもファンの記憶に残る名選手たちが何人も惜しまれつつユニホームを脱いだ。今回は、彼らが現役時代に残した思わずビックリの珍プレーや珍場面を振り返ってみよう。
まずは今季のロッテを最後に18年間の現役生活に終止符を打った鳥谷敬の阪神時代の珍事から。
15年4月26日の広島戦、0対0の5回表、阪神は西岡剛が二盗に失敗した直後の2死無走者で、鳥谷がジョンソンの7球目をバックスタンドにファウルした。
直後、球場内に「火災発生!」を知らせるサイレンが高らかに鳴り響いた。試合中に火事とは穏やかではない。スタンドは騒然となり、試合も約2分中断した。
実は、鳥谷のファウルボールが消火栓を直撃し、火災報知器が誤作動したのが原因だった。
6回表開始前に「先ほどの警報は、ファウルボールの衝突により作動したものです」と場内放送があり、ようやく一件落着となったが、この鳥谷の火災報知器直撃打が猛虎打線に文字どおり火をつける。
福留孝介、マートンの連続二塁打で1点を先制すると、二死満塁から西岡の押し出し四球で2点目。そして、鳥谷も左中間に満塁の走者一掃の三塁打を放ち、ゴメスの二塁打で一挙6得点のビッグイニングとなったのだ。
試合はそのまま阪神が6対0で快勝。珍打球をきっかけに、打のヒーローとなった鳥谷は「あそこは点が入ればいいところだったので、追い込まれていたし、(球種は)絞らずにいきました。勝てて良かった」と破顔一笑。一方、広島投手陣にとって、火災を知らせるサイレンは、皮肉にも誤報ではなく、リアルの炎上予告となった。
プロ20年目の巨人・大竹寛も、今季は4試合の登板に終わり、10月22日に引退発表。現役最後のマウンドとなった同24日のヤクルト戦では、サンタナを遊ゴロに打ち取り、有終の美を飾った。
そんな大竹が前代未聞の“一人ヒーローインタビュー”を演じたのが、広島から巨人にFA移籍した14年7月27日の中日戦だった。