8対3とリードしたヤクルトは、7回の守りで、先頭のバルディリスの二飛を山田哲人が落球。ボールはファウルグラウンドを転がり、ライト・雄平がバックアップ処理したが、客席の子供ファンにボールをねだられると、なんと、ファウルと勘違いして、スタンドに投げ入れてしまった。

 山田が慌てて取り戻したものの、すでに二塁に達していたバルディリスに三進が認められ、直後失点。終わってみれば、8対6の辛勝に、雄平は「あれから流れが変わった。本当に投手に申し訳ないです」と反省しきりだった。

 ちなみにこの日は、日本ハム・西川遥輝も、楽天戦の6回1死一塁で、左飛をキャッチした直後、まだ2死なのにボールをスタンドに投げ入れてしまい、よりによって同じ日に同様のボーンヘッドが2つ重なる珍事となった。

 16年9月29日のDeNA戦では、引退登板で7回途中10失点の三浦大輔の最後の打者になったとき、高めの直球を空振り三振した“優しさ”も印象深い。(文・久保田龍雄)

●プロフィール
久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍プロ野球B級ニュース事件簿2021」(野球文明叢書)。

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