サッカーのカタール・ワールドカップ(W杯)が11月20日に開幕する。AERA 2022年10月31日号では、初戦のドイツ戦(23日)まで1カ月を切った日本代表の状況をレポートする。
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32チームが出場するW杯で日本は1次リーグE組に入り、ドイツ(11月23日)、コスタリカ(同27日)、スペイン(12月1日)と対戦する(上位2チームが決勝トーナメント進出)。9月下旬、日本は初戦で顔を合わせるドイツに遠征し、いずれもW杯に出場する米国(23日)、エクアドル(27日)とテストマッチを行い、1勝1分けだった。
同遠征は11月1日のW杯登録メンバー26人の発表前最後の合宿ということでも注目されたが、対戦相手の力量や細かな内容を踏まえれば、すべてを称賛はできない。2-0で勝利した米国戦でW杯でも主力となるべき選手を起用し、0-0で引き分けたエクアドル戦ではスタメン11人全員を入れ替える“ターンオーバー”を取り入れた采配には批判の声も少なくなかった。ただ、多くの選手を起用し、さまざまなシステム(布陣)を試せたという点では、実りある遠征になったと言えるだろう。
■「4-2-3-1」に回帰
アジア最終予選では3節までに2敗を喫するなど序盤でつまずき、4節以降は森保一(もりやすはじめ)監督の就任来メインにしてきたシステム「4-2-3-1」を封印。今年6月の国内での強化試合4連戦でも「4-3-3」をベースに戦っていた。しかし、W杯に向けてより中盤に厚みを持たせる「4-2-3-1」に回帰し、戦えるメドがついたのは大きい。
「選手個々の良さを引き出し、戦う選択肢を広げるため」
森保監督はシステム変更の狙いについてそう話した。鎌田大地(26、アイントラハト・フランクフルト)や久保建英(くぼたけふさ・21、レアル・ソシエダード)ら、これまで代表で力を発揮できていなかった選手を生かす形が見つかったことは光明だ。
米国戦では、2列目中央の「トップ下」で鎌田が躍動した。前半に守田英正(27、スポルティング)のパスに合わせて先制点を挙げると、左サイドの久保、右サイドの伊東純也(29、スタッド・ランス)、1トップの前田大然(まえだだいぜん・25、セルティック)らと好連係を見せ、攻撃の司令塔役としてアピールした。