ここでは「推(お)し事(ごと)プラン」が人気だという。推し活での疲れを癒やして、というのが狙いで、栄養ドリンクなどのプレゼントを選べる。
アニメやゲームのキャラクターとも時折コラボ。なんとカプセル内に、キャラクターの特大イラストが貼られている。まるでキャラクターと一緒に寝そべっているかのようだ。
■「推し活」に活路
大上さんは、推し活のエネルギーを感じている。
「キャラクターで飾るのは10室ほどですが、予約枠が瞬時に埋まることもあります。ただ、部屋はランダムなんです。予約したお客様は、どのキャラクターのカプセルに当たるか、実際に来るまでわかりません。推しのキャラクターのカプセルに泊まれるのか、そういう楽しみもあると思います。コラボ期間中にリピーターになってくれる方も多いですね」
カプセルホテルは増えている。厚生労働省の衛生行政報告例によると、カプセルホテルを含む簡易宿所の施設数は、2010年に約2万4千だったが、20年には約3万8千と6割も増えた。鍵となったのは、13年頃から始まったインバウンドの増加だった。
ホテル評論家の瀧澤信秋さんは言う。
「インバウンドは増えたものの、宿泊施設が不足していました。旅館やホテルも増えましたが、一から造るハードは開業までに時間を要します。それに比べて、カプセルホテルは準備期間が短く、数を伸ばしました」
ただ、最近はカプセルホテルの休業や閉鎖も耳にする。
「コロナ禍とインバウンドが減ったことが大きいですが、実は宿泊施設の供給過剰は、コロナ禍前から始まっていました」と瀧澤さん。一般のホテルの開業ラッシュだった18年頃から、稼働率の低下が指摘されるようになったという。
「カプセルホテルも淘汰されています。他社にない魅力を打ち出そうとした。結果、進化を遂げたのです」
(編集部・井上有紀子)
※AERA 2022年10月3日号