女性が求める男性の条件はますます厳しくなっている

――本書では女性が求める「理想の男性像」がさらに厳しくなっていると指摘されていました。

 女性は変わったと言われていますが、男女のマッチングにおける本音の部分は変わっていません。これは既存の意識調査などでは女性が本音を明かさないケースが多いため、ほとんど出てこないことです。学歴と経済力は依然として重要ですし、それに加えて家事力や育児力を求められていることを考えると、条件はむしろ厳しくなっています。

 例えば本書では、先行研究などから、女性にとっての男性の新しい理想像として、高身長に目をつぶった代わりに家事などへの協力を重視した「3C」や、女性にとっての負担やリスクを軽減する「低さ」を求めた「4低」、女性を経済面・体力面・生活面で守る「強さ」を兼ね備えた「3強」、生存力・生活力・生産力を重視した「3生」などを挙げています。

プレジデントオンライン編集部作成
プレジデントオンライン編集部作成

 経済力に関して変化があるとしたら、年収の高さよりも、リスクの低い職業に就いているなどの安定性が求められるようになったことですね。現在はハイスペックのサラリーマンでも収入の伸びには限度がありますから、自治体の正職員のように、リストラされずに収入を常に入れてくれる男性に人気が集まりやすくなっています。

「男のプライドにかけて女性の条件は下げられない」

――「結婚できないのではなく、しないだけ」と語っている高スペック男性のエピソードも印象的でした。

 いわゆる「高スペック男性」の苦悩については、いままで多くの取材を重ねてきました。本書で紹介した男性はそのうちの一人です。大手ゼネコン営業課長の佐藤さん(仮名)は、38歳にして同世代と比べて収入も高かったですし、コミュニケーション能力も抜群で、婚活市場では“超”がつくほどの“優良物件”でした。ただ、会って開口一番「僕は結婚できないんじゃない。結婚しないだけですから」と能力不足で結婚できないのではないと釘を刺してくる。典型的なパターンですね。

 しかも、「男のプライドにかけて女性の条件は下げられませんよ」と堂々とおっしゃって、お付き合いする女性の条件として「美人で料理がうまくて家庭的、聡明で短大か女子大卒」の「20歳代」を挙げていました。当時の女性が結婚相手の男性に求める条件を兼ね備え、合コンに出向けば、逆に女性から声をかけられるという。「男はモテなければいけない」という「男らしさ」を具現化できていることに誇りを持っていたんでしょうね。

 その5年後、佐藤さんは「効率性」を求めて結婚相談所に入会していたのですが、収入など外面ばかり注目され、中身を見てもらえない婚活に疲弊している様子でした。そこに、部長昇進間近と目されていた時期に、うつ病で休職していた部下から「佐藤さんに過重労働を強いられていた」と人事部に訴えられ、譴責(けんせき)の懲戒処分を受けたことが追い打ちをかけます。

 佐藤さんは「花形部署を離れて、出世も見込めないなんて、女性にモテるわけがない」と心をひどく痛めていました。

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