自分なりの養生を果たすとは、自分なりの心のときめきを持ち続けるということです。それにより、生命のエネルギーを死ぬまで高めていくのです。このときめきは、人によって異なります。私の場合は、これまで何度も話していますが、医師としての仕事、講演や執筆、太極拳、晩酌、女性とのハグといったところです。このときめきは、年齢とともに衰えるどころか、逆に高まっています。

 さて、最後の生と死の統合です。これはどういう意味ですかと、よく聞かれます。一般には生と死は相容れないものだと考えられています。西洋医学では生きていることが何より大事で、死んでしまったら対象外です。しかし、本当は生と死はつながっていて一体のものだというのが、私の考えです。単純に死後の世界を信じるというだけでなく、生きながらにして、死を体験できる、そこまでいけば、生と死を統合できたと言えるのではないでしょうか。

帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中

週刊朝日  2023年1月27日号

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