元朝日新聞記者でアフロヘアーがトレードマークの稲垣えみ子さんが「AERA」で連載する「アフロ画報」をお届けします。50歳を過ぎ、思い切って早期退職。新たな生活へと飛び出した日々に起こる出来事から、人とのふれあい、思い出などをつづります。
【写真】稲垣さんがお隣さんから頂いた「焼きたてアップルパイ」
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締め切りの関係で、この原稿が今年初めて書くものとなる。ということで今更ながら皆様明けましておめでとうございます。本年もどうぞ宜しくお願いいたします。
年明け、千葉の山に眠る母の墓参りに父と姉と私の3人で行ってきた。前も書いたが、この墓は母の死後、樹木葬を望んだ父をリーダーとして我ら3人が1年かけてあちこち見学し決めた場所である。開発で裸になった山を、樹木葬を望む人が木を一本ずつ植えて元の自然に戻すという壮大な計画が気に入ったのだ。
都心から特急電車で1時間、さらに車で30分ほどの静かな空間が心地よく、いつの間にか家族の「お出かけ」といえばこことなった。朝早く東京を出て昼前に到着し、まずは母の墓に植樹したエゴノキの苗の成長を確認。それからぐるり一周して少しずつ増えていく他の木を見学する。
実は最初に植えた苗が猛暑で根付かず植え替えたので、今回はどうかと気が気じゃなかったのだが、ありがたくも着実に成長中。っていうかむしろ引くほどデカくなっていて、姉が思わず「なんか、威張ってる……?」。控えめな成長を見せるお隣の木が心配になり「がんばれ!」とエールを送っておいた。