「早稲田大の『W』や中央の『C』のように認知度があればいい。だがわが大学は新しく、ユニホームにイニシャル、校章、シンボルマークを掲げたところで受験生にはわからない。社会にも伝わらない。せっかく大学をアピールする機会なのにもったいないではないか。『W』や『C』のようにイニシャルで伝えられるほど有名になるため、まずは大学名を知ってもらうことだ」

 こう考えると、2004年初出場の城西大が「JU」を掲げ、古豪の東京農業大が正式名称なのはなかなか興味深い。

 箱根駅伝は正月の風物詩としてすっかり定着した。大学にすれば、見逃す手はない、とばかりに陸上部長距離部門に力を入れるところが増えた。コロナ禍で外出を控える中、実況中継に見入る人が多く、今回も高視聴率が期待される。

 2010年以降、優勝回数を競い合う青山学院大、駒澤大が「もう十分、大学名は浸透した」と考えて、洗練されたデザインのロゴに変えてしまったり、グローバル化に対応するとともに、古豪、伝統校の仲間入りを目指してイニシャルに変えたり……という可能性はあるのか。いや、日本の大学だからこそ漢字を示すことに意義がある、とこだわり続けるかもしれない。

 大学の正式名称をしっかりアピールするか、かっこよくデザインされたイニシャルを訴えるか。各大学のアピール度を観察すると、大学の思想、大学の熱い思いがわかるような気がする。これも箱根駅伝のマニアックな楽しみ方だ。

教育ジャーナリスト/小林哲夫

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