そう話すのは臨床心理士である大妻女子大学の福島哲夫教授だ。一つ目は、衰えて元気がなくなり、ますますセックスレスへの道をたどる人。二つ目は、手早くセックスだけしたがる人。三つ目は時間をかけてめいっぱいセックスを楽しみたい人だという。
衰えて元気がなくなった人は泌尿器科でまずはテストステロンの検査をしてもらおう。ただ、問題なのは、性欲も勃起力もあるのに手早くセックスを求める人だ。福島教授が説明する。
「こんなケースがありました。50代で、子育てが一段落した女性が寂しさから、夫に『したい』と言ってみた。夫は会社経営者で夜の街へも遊びに行くタイプ。妻の誘いに応じたものの、前戯も何もなく、いきなり挿入してきたそうなんです。妻はそれでますます傷ついてしまった。夫は妻を大事に思っていないわけではないけど、めんどうなことはしたくないんでしょうね。バリバリ仕事をしている人にありがちです」
女性から見れば、性の充実を勘違いしている男性。これでは夫婦の性を楽しむことはできない。
一方で「妻のときだけED」というタイプが出てくるのもこの年代。
ひとり息子が巣立ったというハヤトさん(56)は、「妻としているときに何度か萎えてしまい、妻に『できないのなら誘わないでよ』と言われました。それ以来、怖くて誘えないし、妻ではできなくなってしまった。でもこっそり風俗に行ったりはしているんです」。
ふたりきりになったら、妻とゆっくり性についても楽しみたいと思っていたが、妻への恐怖感が先立ってしまうという。
福島教授は言う。
「夫のDV(ドメスティックバイオレンス)が問題になっていますが、妻から夫へのDVや暴言も案外多いんです。男性たちは妻の言いなりで対等な関係が築けていない。いずれにしても50代からの性のすれ違い以前に、人間性のすれ違いを考えないと夫婦は破綻(はたん)します」
マンネリになるのを避ける工夫も必要だ。