※写真はイメージです
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「妻に迫られても体力気力が追いつかない」「50代なのに、最近は“その気”になれなくなった」。そうお嘆きの男性諸氏の声をよく聞く。まだ若いつもりなのに心も体も思いどおりにならない。そんなときはまず、加齢男性性腺機能低下(LOH)症候群=いわゆる男性更年期を疑ってみる必要がありそうだ。フリーライターの亀山早苗さんがその実態を調べた。

【男性更年期チェックシートはこちら】

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「このままだと夫婦関係が危ないと感じています」

 そう話すのはタカヒロさん(53)。最近、急に性欲がなくなり、10歳年下の妻の誘いに応えられないという。

「どうしてもできないんです。妻には疲れているからごめんと言っても、『どうせ私のことを女として見てないんでしょ』と言われ……」

 タカヒロさんは性欲だけではなく、集中力ややる気も減少。「男の更年期もあるらしい」との話を聞き、病院へ行くことを考えているという。

 女性の更年期はよく知られている。女性ホルモンのエストロゲンが急減し、頭痛や肩こりなどさまざまな症状が表れてくる。閉経前後の10年間、つまり45~55歳くらいまで、人によってはかなり苦しむ。しかもそのころはちょうど子育てが一段落し、我慢していた夫への忍耐も切れかける。だから夫が求めても妻は性的な関係を拒否しがちだ。

 ところがその現象、女性ほど激しくはないが男性にも起こりうる。10代後半から20歳くらいをピークとして男性ホルモンであるテストステロンが減り、50~60代の男性がおかれている環境やストレスにともなって心身の不調が出てくるのだ。

 LOH症候群の専門家である獨協医科大学埼玉医療センター・泌尿器科の井手久満教授が、特徴的な症状を話してくれた。

「加齢に伴うテストステロンの減少によって起こる症状は、性欲低下、勃起不全(ED)をはじめ、全身の倦怠(けんたい)感、不眠、イライラ、排尿障害、集中力低下など多岐にわたります。しかも50代の男性は、仕事、子どもの問題、住宅ローン、親の介護など多くのストレスを抱えており、それらが重なって抑うつ状態を引き起こすこともあります。総コレステロールや内臓脂肪の増加にも関連するので、心血管系疾患や糖尿病などの危険因子になったりもするのです」

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