大学院を修了し、教員になりました。就活で驚いたのが、募集が出ている大学教員ポストはすごく少ないことや、広い設備が必要な理系の職場は東京都内に少ないこと。今は千葉に片道1時間半かけて通っています。

 それに、常にブラッシュアップし続けなければならないプレッシャーもあります。

 理系は結局のところ、技術です。身につけるために、私は20代のかなりの時間を費やしました。20代はライフプランより研究に夢中でした。細胞の培養をして、何時間後にまた研究室に行って取り出してと、定時で働く人とは違う環境で生きていました。

 30代前半の2018年に結婚、20年に出産しました。育児に1年間集中しましたが、その間も新薬は出続けます。育休から復職して、授業の合間に勉強して知識をアップデートする努力をしていました。キャリアと結婚、出産が重なるから難しさを感じていましたが、今までの土台を生かせたおかげで、予想よりすんなり戻れた気がします。

 現在は教育活動をメインに、時短勤務をしています。多様な働き方が認められる時代になりました。今が働き方の変わる過渡期かもしれません。

(構成/編集部・井上有紀子)

AERA 2022年1月24日号

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