「例えば、イライラしやすい人や緊張しやすい人、自宅ではそうでもないのに病院では血圧が高く出るような人は不眠になりやすいといえます。反対に、不眠症の人が高血圧を示すこともあります」(栗山医師)

 また、高血圧の治療に用いられる降圧剤の一部や抗がん剤、ステロイドなど、薬が原因で不眠になることもある。ただし、不眠の症状が出たとしても、病気の治療のために薬を飲み続ける必要があることも。患者自身の判断で薬をやめることはせず、気になる症状がみられたときには必ず医師に相談することが必要だ。

 うつ病も不眠症と大きな関わりがある。うつ病の8~9割は不眠症状を併発するといわれ、とくにうつ病の初期症状として不眠は多い。

「うつ病は加齢とともに発症頻度が高くなりますが、若い人でもみられます。若い人で不眠を訴えて受診する場合は、うつ病や不安障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)など、精神的な病気が隠れている可能性があるため、注意深く診断します」(同)

 ほかにも、不眠症は糖尿病などの生活習慣病や認知症など、さまざまな病気との関係を指摘されている。

「どの病気も不眠だけがリスク因子になるわけではありませんが、不眠の症状があり、つらいのであれば早めに適切な治療をすることが大切です。それが結果的に、さまざまな病気のリスクを下げることにもつながるでしょう」(同)

(文・出村真理子)

週刊朝日  2022年2月11日号