不眠症にはさまざまな原因があり、生活習慣やストレスなどのほか、加齢によるからだや生活の変化で起こるものも多い。また、うつ病や高血圧など病気が原因のことも。不眠症の原因とリスクについて、専門医に聞く。
【写真】「不眠の時は薬を使ってもOK」と語るカリスマ医師はこの人
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不眠症とは、よく眠れないことで心身に不調をきたしたり、仕事に支障をきたしたりと、生活に影響が及ぶことをいう。不眠症の症状には、なかなか寝付けない(入眠困難)、夜中に何度も目が覚める(中途覚醒)、朝早くに目が覚めてしまう(早朝覚醒)などのパターンがある。複数の症状を併せ持つ人も多い。
そもそも、「なかなか眠れないという経験は誰にでもある」と、東京足立病院院長で日本大学医学部客員教授の内山真医師は言う。
「例えば、翌日大事な用事があって緊張する、気が重いことがあって不安、楽しみなことがあってワクワクするなど、さまざまな原因で眠れないことはあるものです」
ただ、多くの人にとっては一過性で、原因が解消されれば眠れるようになる。このような場合や、眠れなくてもそれが苦ではない場合は「不眠症」とは考えないという。
「寝付くまでに1時間かかっても、その間ボンヤリと考えごとをするのが好きな人もいますし、夜中に目が覚めても気にせずまた眠りにつく人もいるでしょう。不眠症とは、眠りたいのに眠れずにつらい、そして眠れないせいで日中の生活で困っているという場合に診断されます」(内山医師)
日中の症状としては、眠気や疲労感、イライラ、落ち込み、集中力・記憶力・判断力の低下などが挙げられる。
不眠症の原因について、「明確にわかっていないことも多い」と、国立精神・神経医療研究センター病院睡眠障害センター長の栗山健一医師は話す。
「ただ、眠れないことへの不安や恐怖など、心理的な要因が関わっていることはたしかです。例えば夕方になると『今夜も眠れないのでは』と不安が募り、夜になるほど不安が強くなって、眠れなくなる人も少なくありません」