寝なくてはと必死になるほど、頭は冴えてしまうことがある。寝ようと悩むことが不眠を強めることになるのだ。
「また、眠るために良かれと思ってしていること、例えば、リラックスするために夜寝る前にホットココアを飲むとか、寝酒といった生活習慣が不眠症の原因になることもあります」(栗山医師)
■加齢にともない眠る時間は減るもの
加齢も不眠症の原因となる。高齢者に不眠症が多い理由については、夜中に何度もトイレに行く(頻尿)、かゆみ(皮膚疾患)や腰の痛みなどで眠れないなど、加齢にともなうからだの変化が関係する。併存疾患がある場合にはその症状なども挙げられる。
しかし、高齢者の不眠の最大の要因は、加齢による「生理的な睡眠時間の減少」といえる。
「高齢になると食事の量が減りますが、これは、加齢により基礎代謝量が減り、活動量も減ることで若いときほどエネルギーを必要としなくなるため。睡眠も同じです。高齢になると若いときほど眠る必要がなくなるのです」(同)
夜間の睡眠時間は一般的に、25歳で7時間、45歳で6・5時間、60歳で6時間といわれる。病気のない人では、年齢が上がるほど短くなる傾向がある。
一方、仕事を引退したり、子育てを終えたりして時間に余裕ができると、早く寝ようとする人が増える。つまり、高齢になるほどふとんで過ごせる時間は長くなるが、実際に眠れる時間は短くなる。このミスマッチが高齢者の不眠の一因だ。
「成人に必要な睡眠時間は7時間前後といわれます。例えば、体調不良や睡眠不足のときには8時間、9時間眠ることができますが、健康な人が早くふとんに入っても、そう長い時間は眠れません。10時に寝れば朝4時ごろに目覚めてしまうのが自然なのです」(内山医師)
■うつ病などが隠れていることも
不眠症には病気が関係して起こるものもある。高血圧もそのひとつだ。高血圧の中でも、自律神経の乱れが関係するタイプでは、不眠を併発することが多いという。